
昼下がりの始発の停留所を出発した路面電車は混んでいて中ほどの席に座っていた僕は後ろの窓から懐かしく流れる風景を見ていた。
電車は一路南下し川口で右に折れて西に向かう、・・・・・
・・・今まで外は晴れていたはずなのにいつの間にか暗くなっている、突然稲妻が走った。
ふと気がつくと隣に老人が座っていて僕に話しかけてきた。
老人「やあ少年!(^_^)卒業だね!(^_^)」
僕 「あはい・・・・・」
老人「高校生活はどうやった?(^_^)
僕 「はー別にぃ・・・・・・」なんかやたら(^_^)マークの多いおっさんやなー
老人「お父さんは元気か?」
僕「えっつ親父を知ってるんですか?」
老人「そら親父や・・えっああいやその男前のきみやからさぞカッコエーー親父さんろなーって思ったんや」
僕「かっこえーなんてそんなことないでもう年取っててちょっと体の調子も悪くてでも仕事がんばってるけどな、
親父はもう62ぐらいやねん、年取ってるけど僕が子供やからがんばってるみたいや。はよ僕も働いて金儲けするねん。」
老人「ほう62か偶然やけどおっちゃんも62や、ほんで商売人になるんか?」
僕「小さいころはそうおもとってんけど、やっぱりサラリーマンかなあ社内恋愛してがんばってその会社の社長にまでなったるねん。」・・・・あれーーなんか僕大人の人にこんな気楽にはなしするなんて今までできへんかったのに
このおっさん親父みたいに気楽に話せるなー・・・そういえば親父にそっくりやなーこのおっさん・・・親父はげちゃびんやけど・・・・・あれーーこのおっさん涙浮かべてるデー
老人「うーーんそうやなー色々経験したらええねん、恋もできるし」
僕「えーー僕彼女おれへんし、はずかしがりやしあかんたれやから無理や」
老人「そんなことないし、おっちゃん知ってるし・・・」
僕」えーーーなんで知ってるん?」
老人「えっあいやおっちゃん人を見る目があるねん、あんたは大丈夫いっぱい恋するし、最後の恋も大恋愛で
二人のえーーー男の子もできるし、でも親父と同じように年取ってからやけどな」
僕「えーーなんでそんなこと知ってるんほんでわかるん」
老人「いやいやそう感じるだけや、君がおっちゃんぐらいの年になったらわかるてはははは(^_^)」
老人「そうかかのじょおらんのか、でも好きな子はおるんやろ」
僕「おらん・・・・まーかわいいなー思う子は何人もおるけどな」
老人「そうかおまじないの札をあげよか・・・これやこれをすきやなーって思ったらなんも言わんでもええねんこれを渡すだけでいいねん。あんたは引っ込み思案やから声をかけたりできへんから、だまって渡すだけでええねん。
この方法はな秘密やけど21世紀には若者はみんなする方法や特別に教えたるは、但し1枚だけや」
僕「ありがとう、へーなんか黄色の紙になんか英語みたいなことかいてあるけどこれどういう意味?」
老人「うん意味わからんでええねん、おまじないやから、これが時空を超えた奇跡をおこすんや、電気が走ったって思った子にわたしたらええねん。ええか、この電車で起こるかもわからんで・・ええか」

おっさんと話してるうちに混んでいた車内はいつの間にか立っている乗客はなくなっていた。
ふと向かい側に目をやったとき少し右側にセーラー服の少女がこちらを向いて座っていることに気がついた・・・・・・・
ぁっ・・・文庫本の少女だ・・・・・・
そのとき少女は文庫本を読んではいなかった。
窓の外の風景を涼しげに目をやっている少女は変わらず清楚であった。
そしてひざの上には黒い筒が握られていた・・・・・・・
あーーーー彼女も卒業なんだ・・・・・・・・・・・・
右前に座ってこちら側にまっすぐ顔を上げた少女を意識しながら窓の外を見ている・・・
あーーもうあえなくなるんだ・・・急激に寂しさが襲ってくる。
時が刻まれる・・・やがて車掌が少女の降りる停留所の名前を告げる。
少女が立ち上がる・・・・
・・・・・そのまま立ち止まる少女・二人は初めて正面から見つめあった・・・・・・
時が止まる・・・・・・・・・・・・・・
少年を見つめる少女の瞳がきらきらゆれる・・・・・・・・・時が止まる・・・・・・・・・・・・・・そのとき音もなく稲妻が走る
電車が停まり、ドアが開く・・・・・
再び時が動き出し少女は硬く唇を閉じ歩き出し降りる。
なぜか今まで僕の右手にあったおまじないの紙を彼女は握っていた。
呆然とその後ろ姿を見つめる少年・・・・・・・・
やがてドアがしまり電車は何事もなかったように走り出す。
ふと気がつくと先ほどまで話していた老人はいなくなっていた。
あれいつの間におりたのかなー、でも不思議だ少女にあの紙僕は渡したのか?よく覚えてない。
いつかその少女に会えるんだという確信みたいな物とその不思議な老人にもきっと会えるという意味のない確信が僕の精神の奥底に取り込まれていった。
西へ向かう電車の正面には早春の昼下がりの陽光がふりそそぎ、海の香りが僕を包む。
少しの寂寥感とそして僕は僕のままでいいんだと許されている不思議な充足感に浸っていた。
そしてそのとき僕は少年を卒業し大人へと歩みだした。
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