セールス秘中の秘18 ~エピローグ~
1971年9月11日土曜日の朝礼・・・・
契約2本・・
主任に約束した10本を達成した・・・・それはベテランの営業マンでも難しい結果を出した。
毎日が地獄と天国を行き来する激しい毎日、僕を信頼してくれて契約にいたったと言うこと。
恐れていた訪問販売のセールスの世界に僕はいてそれなりの成果をあげることができた。
満ち足りているという感覚、そんな中にいた。
今日は目標数値はなしである。
新人教育と、主任の幹部教育の半年間の締め切りが終わり今日は各自自由に行動してよくまあゆっくり休めと言うことである。
朝礼のあと、もと居た会社へでも行ってみようと思って阪神電車で福島まで行く。
そこからぼくにとってアイドルだったR子に電話をする・・お嫁に行くとひとづてに聞いていたからだ。
会社近くの喫茶店で落ち合う・・僕はセールスの経験を熱く語る。
彼女は結婚を決意するまでの悲しい悲しい物語を話し、以後生涯このことは口に出さないと彼女は誓う。
「ミシンを売って!それ持ってお嫁に行く!」
あわただしく契約を済ませ、店を出る・・・・・。
「じゃあ元気で!」
彼女は敬礼をしながら、
「セールスマンさん!がんばって!」
僕は彼女のほうを向いたまま後ろ向きで離れていく・・・・・
そのまま僕は大きくお辞儀をし
「ありがとうございました!」・・・・・・・・・・・・
頭を上げて彼女を見るとその目から大粒の涙があふれてぽろぽろこぼれていた。
「僕もがんばるよ!」っていうのが精一杯で・・・
手を振りながら笑顔で後ろに下がっていく・・・・・・・・
そして踵をかえし背を向けて歩いていった・・・・・・
しばらく行き振り返ると彼女はまだそこに立っていて手を振っている・・僕も手を振り、角を曲がる・・・・
しばらく行くと小さな公園がある。
僕はそのベンチで腰をかけ空を見上げる・・・・あたたかい日差しが僕を包む・・・・・・あーーあたたかい。
・・・・ひゅんひゅんひゅんひゅん・・・・
・・・わんわんわん・・・わんこが走って来る・・・あーーあたたかい・・・空を見上げる・・・・・秋の空は澄み切ってどこまでも青かった・・・・僕はセールスノートをひろげ便箋をだし、手紙を書く。
お手紙ありがとう、それはとんでもないシーンで届き僕を救ってくれました。
あーー明日は僕の29才の誕生日・・・何かをねだってるわけではないんですけど、なんかどきどきしてます。
お願いがあります、そのとんでもないシーンを聞いて欲しいな。
場所は上六のトロイカ。ではでは。
セールス秘中の秘~完~
| 固定リンク | コメント (8) | トラックバック (0)


最近のコメント