新青春のわだち 5 女先生
ある日の放課後、帰路の野田商店街を歩いていた。
そのとき僕を誰かが呼んだ。
「は○もと君!」
目の前になつかしい”まきこ先生”が少しはにかみながらにこにこして立っていた。
「あっつ!先生!、どうしてここにいるんですか!」
「うん、そこの小学校で、学会があるんよ!、元気だった?(^_^)」
「あはい」
「そうよかった!じゃあ(^_^)」
「あはい」
手を振りながらすれちがって中学時代を思い出していた。
ひゅん ひゅん ひゅん・・・・
ある日の放課後、僕は校舎と校舎の渡り廊下を歩いていた。
そのとき誰かが僕を呼ぶ・・・・
「は○もとくん・・・・」
振り返ると、校舎の陰から少し顔だけを出した”まきこ先生”がいた。
少しはにかみながら笑顔で僕を見ていた。
「あーせんせい!」
「ねえ、こんど家に遊びに来ない?(^_^)」
「えっ!あはい!」事の成り行きに呆然としながら、断る理由もないし、大好きだったまきこせんせいが僕を家によんでくれたんだ。。。
まきこ先生は大学を卒業して初めて赴任してきた理科の新任教師だった。
素敵で、おねえさんのようで僕達に人気があった。
からかいの気持ちもあってよく質問をした。
教員室にも押しかけて、いろいろ教えてもらう。
机の引き出しにはいつも飴玉が入っていてそれを貰うのも楽しみだった。
いつしか他愛ない交換日記をするようになっていった。
ひゅんひゅん ひゅん・・・・・
中学校を卒業して、まきこ先生のこともすっかり忘れていたのだったけど、路上で偶然出会ってなにかどきどきしていた。
それから半年したころ、風のうわさに”まきこ先生”がなくなったことを知った。
一人広大な屋敷に住んでいた少女のような謎の「女先生」の身の上に何が起こったのかと、うろたえたりしたけどそれ以上僕がどのように行動するべきかもわからず、一人その想い出を心の奥底に秘めて埋没していった。
人生は一人一人に確実に存在しているのだけど、人生を歩き出した僕には自分の身の上に精一杯で大切な人を失うことの悲しさもよくわからず過ごしていた。
「青春」とは「若い」ということならそれはただ言葉で知っただけの人生で、なにも知らなかったんだと思い知ったのはそれからずいぶん年月を経て、幾多の悲しさを経験しなければいけなかった。
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